【全5話・完結】推しが義理の兄になる日

【全5話・完結】推しが義理の兄になる日 の挿絵

「お前、俺の妹に何手出してんだコラぁぁぁ!!!」
深夜のライブ会場裏に、さっきまで万単位の観客を狂乱させていたハルさんのデスボイスが響き渡った。マジで威圧感がやばい。痛バで殴られたら即死するレベルの圧だ。

ミナちゃんが慌てて「違うのハル兄!ポチさんは私の命の恩人で……!」と庇ってくれるけど、ハルさんは鋭い眼光で俺を睨みつけている。俺はガクガク震える膝を押さえ、意を決してハルさんの目を真っ直ぐ見つめた。

「ハルさん!俺は、ルミディザの音楽に何度も救われてきました!そして今日、ミナちゃんと出会って、二人で最後のライブを目に焼き付けたんです!怪しい者じゃありません、ただの、ルミディザとミナちゃんを世界一愛してるファンです!」

一息に叫ぶと、ハルさんはハッと目を見開いた。そして、俺の痛バにびっしり敷き詰められた初期の激レア缶バッジや、ボロボロになるまで使い込まれたツアーTシャツに目を留めた。

「……お前、あの伝説の初単独ライブの限定ラバスト持ってんのか」「はい!物販で5時間並びました!」「マニアックすぎる初期曲のレポ書いてた『ポチ』ってお前か?」「それ俺です!!」

次の瞬間、ハルさんは俺の肩をガシッと掴んだ。「合格だ。ミナを泣かせたら、次のソロプロジェクトのデスボで全国補導するからな」……えっ、公認!?っていうかハルさんソロやるの!?

解散の寂しさはどこへやら、俺とミナちゃんは顔を見合わせて破顔した。最高の推しの妹が、俺の特別な人になるなんて、人生どんな神展開だよ。

それから1年後。俺とミナちゃんは、ハルさんのソロデビューライブの最前列にいた。もちろん、お揃いの参戦服と、愛を込めて組み上げた「ハル&ミナ推し」の痛バッグを抱えて。
「ポチさん、これからもずっと一緒に推し活してくれますか?」隣で微笑むミナちゃんの手に、そっと自分の手を重ねた。推しが繋いでくれた最高の運命に、心からの感謝を込めて!

※この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。

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