【全5話・第4話】謎の男の正体とレンが抱える重大な秘密

【全5話・第4話】謎の男の正体とレンが抱える重大な秘密 の挿絵

「サトシさん、俺、本当は……」レンの唇がかすかに震えていた。
スタッフ風の男、通称「グラサン男」に連れ去られそうになったレンを、俺とタカシはとっさに庇い立てした。会場裏の薄暗い街灯の下、グラサン男は「あまり騒ぎを起こすな、明日の本番に響くぞ」と意味深な捨て台詞を残して立ち去った。明日の本番? 今日がツアーファイナルじゃなかったのか……?
近くのファミリーレストランに駆け込み、ドリンクバーのメロンソーダで息を整える。テーブルの上には、俺たちの痛バと、レンが愛おしそうに撫でるKAI様の激レア缶バッジ。
「さっきの男、お前の何なんだよ? なんで明日の本番とか言ってたんだ?」タカシが身を乗り出して尋ねる。
レンは意を決したように下を向き、ボソボソと語り始めた。
「実は俺……LUNA EDGEの専属衣装スタッフの見習いなんです。あの人はスタッフの責任者で……」
「えええええっ!?」俺とタカシの声がファミレス内に響き渡り、隣の席の女子高生に睨まれた。嘘だろ、じゃああの完璧な参戦服も、関係者だからこそ作れたってことか?
「でも、KAI様を推す気持ちに嘘はないです! むしろ間近で努力するKAI様を見て、もっと好きになって……。でも、関係者が一般席で、しかも痛バを持って参戦するのはルール違反だって、怒られてて……」
涙ぐむレンの姿に、俺の胸が熱くなった。職権濫用どころか、純粋すぎるオタクの情熱じゃないか! 最高の同担だよお前は!
「なんだ、そんなことかよ! 現場の裏方だろうが何だろうが、KAI様を愛する気持ちに貴賤はねえよ!」俺が叫ぶと、レンはパッと顔を輝かせた。
しかし、レンのスマホが激しく震え出した。画面を見たレンの顔色が、一瞬で土気色に変わる。
「どうしたレン?」
「……KAI様が、明日のシークレット追加公演の衣装を破いてしまって、今すぐ現場に来いって……それと……」
「それと?」
「明日のステージ、KAI様の意向で『ファンの痛バを展示する演出』が決まったらしくて……俺のだけじゃ数が足りないんです……!」
絶望するレン。だが、俺とタカシは顔を見合わせ、ニヤリと笑った。

※この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。

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