【全5話・第3話】運命のオフ会とまさかの遭遇

【全5話・第3話】運命のオフ会とまさかの遭遇 の挿絵

SNSの画面を何度リロードしても、レンさんらしきアカウントは見つからなかった。
「はぁ……やっぱり、あの夢みたいな時間は幻だったのかな」
終演後の人ごみではぐれてから丸二日。俺(タカ)は、ルナ・シーカーズの痛バッグを抱えたまま自室で一人、盛大な不貞腐れタイムに突入していた。手首に残るあの温もりと、去り際の甘い笑顔が脳裏に焼き付いて離れない。完全に恋煩いである。アラサー男子としてはいささか痛い自覚はあるが、あんな国宝級の美形に優しくされたら誰だって狂うだろ!

そんな俺を見かねたのか、ルナシカ仲間の「マサ」から連絡が入った。
『タカ、今日これから秋葉原でルナシカファンの緊急打ち上げオフ会あるけど来る? 10人くらい集まるよ』
気乗りはしなかったが、部屋で鬱々としているよりはマシかと参加を決意。参戦服に身を包み、推しの缶バッジがびっしり敷き詰められた痛バを肩に下げて指定の居酒屋へ向かった。

「タカお疲れー!」「昨日のセトリ神だったよね!」
個室に着くと、熱いオタクたちが既に盛り上がっていた。酒が入るにつれ、ライブの感想戦でテンションが上がっていく。俺もレンさんのことを一時忘れるくらい熱弁を振るっていた、その時だった。
「遅れてごめーん! 仕事長引いちゃって!」
ガラッと個室のドアが開き、聞き覚えのある爽やかな声が響いた。

すーっと血の気が引く感覚。ゆっくりと入口に視線を向けると、そこに立っていたのは——黒の革ジャンをスタイリッシュに着こなした、紛れもないレンさんだった。
「え……レンさん……!?」
俺が素で声を漏らすと、レンさんも俺に気づき、目を丸くした。
「あ! 昨日のラバストの……タカくん!?」
なんとレンさんはマサのフォロワーのフォロワーで、たまたまこのオフ会に誘われていたらしい。奇跡って本当に存在するんだ。心臓がうるさいくらいに跳ね上がる。

レンさんは当然のように俺の隣の席に滑り込んできた。昨日のライブの熱狂、推しへの愛、お互いの好きな曲。話せば話すほど波長が合い、俺たちの距離は一気に縮まっていった。途中、レンさんが「タカくんとまた会えて本当に嬉しい」と耳元で囁いてきて、俺のキャパシティは限界突破寸前だった。

宴もたけなわ、一次会がおひらきになり、店の前で解散の流れになった。今度こそ絶対に連絡先を聞くんだと意気込む俺に、レンさんが少し照れたように微笑みながら近づいてきた。
「ねえタカくん、この後……二人だけで二軒目行かない? 話したいことがたくさんあるんだ」

街灯に照らされたレンさんの美しい顔が、まっすぐ俺を見つめている。
願ってもない展開に、俺の頭は真っ白になった。しかし、俺が「はい!」と返事をしようとしたその瞬間、レンさんのポケットから落ちた「ある物」を目撃してしまい、俺は凍りついた——。

※この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。

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