【全5話・第4話】落とし物の正体と深夜の緊急呼び出し
レンさんが落としたのは、市販されていないはずの『ルナ・シーカーズ』最初期限定ペンダントだった。
「えっ……これって、関係者か結成当初の数人にしか配られてない幻の……!?」
俺が拾い上げて固まっていると、レンさんはハッとした表情でそれをひったくるように奪い取り、気まずそうに目を逸らした。
「あ……ごめん、見なかったことにしてほしい。これ、ただの偽物だから」
明らかに動揺した様子でタクシーに飛び乗り、レンさんは夜の街へと消えていった。
偽物? いやいや、俺のオタクとしての長年の勘が告げている。あの重厚感、彫刻の細かさ、あれは間違いなく本物だ。レンさんって、一体何者なんだ……? まさかメンバーの身内? それとも元関係者? 謎は深まるばかりで、その夜は一眠りもできなかった。
翌日も仕事中ずっとレンさんのことが頭から離れなかった。あの美しい顔立ち、俺の推しへの熱量を受け止めてくれた優しさ、そして謎のペンダント。完全に恋に落ちている自覚はある。でも、遠い存在に思えて胸が苦しい。
そんなモヤモヤを抱えたまま週末を迎えた金曜の深夜2時。スマホが激しく震えた。ディスプレイに表示されたのは「レン」の文字。
「もしもし、タカさん……? 突然ごめん。今、◯◯駅近くの公園にいるんだけど……会えないかな」
電話越しのレンさんの声は今にも消えそうに震えていて、背景からは雨の音が聞こえていた。
俺は痛バッグを掴む暇もなく、財布とスマホだけ持って部屋を飛び出した。雨の中を全力疾走し、公園のベンチで小さくなっているレンさんを見つける。「レンさん! どうしたんですか!?」と駆け寄ると、レンさんは濡れた顔を上げ、涙で濡れた瞳で俺を見つめた。
「タカさん……俺、嘘をついてた。本当の俺を知っても、嫌いにならないでくれる……?」
レンさんがゆっくりと差し出したスマホの画面には、信じられない画像が映し出されていた。
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。