【全5話・第3話】奇跡のドタバタ、物販エリアでの逆襲

【全5話・第3話】奇跡のドタバタ、物販エリアでの逆襲 の挿絵

他人のライブチケットを握りしめ、初冬の空の下でフリーズする男ふたり。
「嘘だろ……これ『劇団ひまわり』の定期公演じゃん……」と絶句するサトシ。いやいや、アルパン(アルティメット・パンプキン)の爆音を聴きに来たのに、なんで俺たち児童劇を鑑賞しそうになってるんだよ!

開演まであと40分。財布には840円。チケットは偽物(というか別物)。絶望のトリプルパンチに、俺の痛バッグに敷き詰められた推し(ベースのルーク様)の缶バッジたちもどこか悲しげに光っている。もうダメだ、今日の俺たちは会場外で漏れ聞こえる音漏れを肴に840円のうまい棒を貪るしかないのか……。

その時、サトシが突然「あッ!!」と大声を上げた。
「ポテチさん、そのバッグ! その限定ラバーストラップ、まさか去年のファンクラブ限定ツアーのやつですか!?」
「え? ああ、これ? 始発で5時間並んで手に入れた宝物だけど……」
「僕、それずっと探してて! 喉から手が出るほど欲しいんです! 実は僕、今日のアルパンのSS指定席チケット、本当は『もう1枚』持ってるんです!」

……は? 今なんと?
サトシの怒涛の説明によると、彼は間違えて持ってきた『劇団ひまわり』以外に、スマホの電子チケットで本物のSS席(超神席)を1枚確保していたらしい。だが紙チケットと勘違いしてパニックになり、もう1枚の連番相手が急病で来られなくなった分を失念していたのだとか。ポンコツかよ!!

「そのラバーストラップと、僕の余ってるSS席電子チケット、交換してもらえませんか!?」
女神……いや、神様仏様サトシ様!! 命より大事な推しのラバストだが、今日のライブに参戦できるなら安いもの! 「交渉成立だぁぁぁ!」と俺たちは固い握手を交わした。

これで万事解決! 開演15分前、電子チケットの分配手続きを済ませ、俺たちは歓喜の舞を踊りながら発券ゲートへと走った。係員にスマホの画面を見せ、QRコードを読み取らせる。ピッ。

その瞬間、ゲートの機械が悲痛なエラー音を響かせた。
『お客様、こちらのチケットは……すでに本日、使用済みとなっております』

「……え?」
俺とサトシの動きが完全に止まった。

※この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。

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