【全5話・第2話】痛バ泥棒の影と、謎の男の奇妙な提案
「お前の痛バ、持っていった奴の行き先、心当たりあるぞ」
突如現れた謎の男の言葉に、俺の脳内クロックは完全にフリーズした。え、マジで?
落ち着いて男の格好を見ると、胸元には『ルナ・エクリプス』の超激レア初期ラバスト、肩からは同じくZERO推しのギッシリ詰まった痛バ。……まさかのゴリゴリの同担(同じ推しを推す仲間)だった。男は「俺はタクヤ。さっき紫パーカーの奴が、痛バを抱えて物販エリアの裏道に走り去るのを見たんだ」と息を荒げて語る。
「でも、なんで俺に教えてくれるんだ?」と聞くと、タクヤは真顔で俺の胸元を指さした。「お前、あの伝説の2022年限定ラミネートカード差してただろ。 ZEROを愛する者に悪い奴はいない。推しの顔が泣くようなマネをする泥棒を許せるかよ!」……うっ、熱い。熱すぎるぞタクヤ! 見ず知らずの俺のために怒ってくれているのだ。
俺たちは急いで物販裏の路地へと向かった。そこは関係者以外立ち入り禁止っぽい薄暗い通路。恐る恐る奥へ進むと、曲がり角の先から「へへっ、これだけ缶バッジがあればメルカリで……」というゲスい小声が聞こえてきた! 間違いなく俺の痛バだ!
俺とタクヤが顔を見合わせ、突入しようとしたその瞬間、通路の反対側から「ちょっと待ちなさいよ!」と怒鳴り声が響いた。驚いて物陰から覗くと、そこには紫パーカーの泥棒と、もう一人、巨大な痛バを抱えた背の高い人物が立っていて――!?
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。