【全5話・第1話】俺の痛バが職場の上司に見つかった結果

【全5話・第1話】俺の痛バが職場の上司に見つかった結果 の挿絵

まさか、あの「鬼の鬼頭部長」に俺の推し活がバレるなんて、この時の俺は夢にも思っていなかったんだよな……。

俺、通称「ポチ」。普段はしがないシステムエンジニアとして、日々仕様変更の嵐と戦っている20代半ばの男だ。だが、俺には生き甲斐がある。それはオルタナティブロックバンド『ブラッディ・クロニクル(ブラクロ)』の推し活だ!
週末になれば、推しのギター・ルカ様の顔面が敷き詰められた痛バッグ(総数50個の缶バッジ装着済み)を担ぎ、全身黒の参戦服に身を包んで全国の現場へ飛ぶ。痛バの重みは愛の重み。これが俺の生きる意味だった。

事件が起きたのは、先週の月曜日。前日の日曜に激しいライブ参戦を果たした俺は、魂が抜けかけた状態で出社した。そしてあろうことか、デスクの足元に置いた通勤リュックのサイドポケットから、昨日買ったばかりの「ルカ様限定アクリルキーホルダー(通称アクキー)」と、ラミネート加工されたファンクラブ会員証がチラッと飛び出していたんだ。

「……ポチ君、ちょっといいか」
声をかけてきたのは、社内で最も恐れられている鬼頭部長(50代半ば)。普段は笑顔ひとつ見せず、ミスをすれば雷を落とす超絶厳格な上司だ。
血の気が引いた。完全にデスクの推しグッズを見られている。絶対「不真面目だ」と怒られる……!俺は腹をくくり、震える声で「はい……」と返事をして会議室へと連行された。

重苦しい空気の中、ドアが閉まる。鬼頭部長は腕を組み、鋭い眼光で俺を睨みつけた。
「ポチ君。さっき君のカバンから見えたあれ……ブラクロの限定アクキーだな?」
「えっ……? あ、はい、そうですけど……」
説教かと思いきや、部長の口から出たのはまさかの単語だった。
部長は周囲を気にするようにサッとドアの鍵を閉めると、胸ポケットから何かを取り出した。
「……これを見ろ」
差し出されたのは、丁寧に保護ケースに入れられた、ブラクロの超初期レア缶バッジだった——え、嘘だろ!?次回、鬼頭部長の恐ろしい正体が明らかに!

※この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。

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