【全5話・第4話】開演直前のバックステージで知る真実

【全5話・第4話】開演直前のバックステージで知る真実 の挿絵

ライブ会場の喧騒の中、母さんのスマホに表示された「KAITO」の文字。俺は開いた口が塞がらなかった。

「え、待って、本物?マジでボーカルのKAITOさん!?」
俺が混乱してパニックになっていると、母さんは落ち着いた様子で電話に応対し、言葉少なに通話を終えた。
「タカシ、行くわよ。関係者受付へ」
「は!?関係者!?俺たち一般席のチケットしか持ってないよ!?」
痛バッグを抱えたまま、俺は母さんに引っ張られるようにしてスタッフ専用口へと向かった。警備員に母さんが名前を告げると、なんとそのままバックステージの楽屋エリアへと通されてしまったのだ。俺の心臓は、ライブ前の高揚感とは全く違う意味でバクバクと暴れ狂っていた。

楽屋の奥から出てきたのは、ステージ衣装に身を包んだ本物のKAITOさんだった。圧倒的なオーラに俺がフリーズしていると、KAITOさんは母さんを見て優しく微笑んだ。
「恵子さん、よく来てくれたね。……そっちが、親父さんの連れか」
「はい。息子のタカシです。すっかりあなた達のファンでね」
「はじめまして、タカシくん。君の父親……健二さんには、本当に世話になった。彼がいなかったら、今のルナ・エクリプスは存在しない」
そう言ってKAITOさんが差し出してきたのは、古びた一冊のノートだった。そこには、父さんが生前に書き留めていたバンドの未発表曲のアイデアや、メンバーへの熱いメッセージがぎっしりと詰まっていた。
「今日の15周年ライブ、アンコールで健二さんの未発表曲を演奏するんだ。だからどうしても、恵子さんと君に特等席で聴いてほしくてね」
思わぬ真実に、俺の目頭が熱くなった。父さんの情熱は、15年の時を超えて今もこのバンドの中で生き続けていたんだ。

感動に浸っていたその時、楽屋の扉が勢いよく開いた。
「KAITOさん!大変です、機材トラブルでオープニングのSEが飛びました!開演まであと5分なのに……!」
スタッフの悲鳴のような声が響き渡る。一瞬で緊張感に包まれる楽屋。その時、俺の痛バッグの中にあった「ある参戦グッズ」が目に入った。
……待てよ、これを使えば、ワンチャンあの問題を解決できるんじゃないか!?

※この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。

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