【全5話・第2話】痛バに隠された衝撃の罠と疑惑の視線

【全5話・第2話】痛バに隠された衝撃の罠と疑惑の視線 の挿絵

「あの……すみません、その痛バッグ、もしかして……」
見知らぬ同担オタクの女性に声をかけられ、俺ことタカは完全にフリーズしていた。武道館の正面で渾身のREO様痛バを掲げてドヤ顔を決めていた俺の天国タイムは、一瞬にして冷や汗ドバドバの修羅場へと変貌を遂げたわけだ。

え、何? 缶バッジの向きがズレてる? それとも限定ラバーストラップが偽物だとでも言いたいのか? 3か月かけてフリマアプリとトレード取引を駆けずり回り、指の皮がむけるほどピンバッジを敷き詰めたこの結晶になんか文句でも……!?
「……それ、REO様じゃなくて、初期メンバーの『Ryo』さん時代の限定バッジ混ざってません?」

……は?
俺は耳を疑った。指差されたのは、中央の一番目立つ場所に配置したゴールドフレームのレア缶バッジ。
「ほら、これロゴの綴りが『R-Y-O』になってます。今のREO様のソロバッジとデザインが酷似してるから勘違いされやすいんですけど、それ、ファンの間では伝説の『黒歴史時代の誤植バッジ』ですよ」

嘘だろ……!? 俺がプレミア価格の1万8千円で落札したあのバッジ、REO様じゃなくて脱退した元メンバーのやつだったのかよ!?
パニックになる俺の横で、周囲の同担たちが「えっ、あの痛バ、元メンバー混ざってる……?」「アピール激しいのにミスってるの草」みたいにザワつき始めた。恥ずかしさと情けなさで、マジで武道館の地面に穴掘って埋まりたい。

「……ちょっと来てください!」
突然、その女性オタクに腕を引っ張られ、俺は人混みの影へと連れ出された。
「落ち込んでる暇はないですよ! 開演まであと40分あります。そのバッジ、私が持ってる予備のREO様のやつと交換してあげます!」
神……! 神が舞い降りた……! と思いきや、彼女は真顔でこう付け加えた。
「ただし、条件があります。あなたのその痛バの『ある致命的な秘密』を教える代わりに、私の無茶振りに付き合ってもらいます」

致命的な秘密!? 誤植バッジ以外にも何かあるのか……!?

※この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。

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