【全5話・第3話】開演直前、痛バに潜む最悪の罠と奇跡
「…嘘だろ?」開演まであと35分。会場の熱気が最高潮に達する中、俺は自分の痛バッグを二度見、三度見した。
指摘されたのは、痛バの底ポケット部分。なんと、透明ビニールの裏側で、手作りの限定ラミカ(ラミネートカード)が熱で溶け、REOの顔部分が隣の缶バッジにべったりと張り付いていたのだ!しかもこのままだと、衝撃で痛バ全体が破れて中の超レアバッジ群が床に散らばる危険性があるという。自虐混じりに手作りしたのが完全に裏目に出た。「これ、補強しないとライブ中に爆発するよ」と、バッジを交換してくれたクール系女子オタクのシオンさんは呆れ顔で言った。
「そんな…俺の3ヶ月の努力が…!」と絶望しかけた俺に、シオンさんは容赦なく「泣いてる暇あるなら手動かしな」と指示を飛ばす。彼女のテキパキとした手つきで、養生テープと予備のストラップを使った緊急オペが始まった。周りのオタクたちも「おい大丈夫か?」「テープ余ってるぞ!」と声をかけてくれ、いつの間にか見知らぬ同志たちが俺の痛バを救うために一致団結していた。俺も必死で指を動かし、なんとか開演15分前に補修が完了した。
ボロボロになりながらも、絆と愛で補強された新生痛バ。シオンさんは「ふぅ、これで心置きなく暴れられるね」と不敵に笑い、自分のブロックへ去っていった。俺は感謝を叫びつつ、指定された座席へと急ぐ。発券されたチケットに書かれていたのは、アリーナ最前ブロック——。
暗転する場内。地鳴りのようなSEが響き渡り、ついに『Lumina Edge』のメンバーがステージに姿を現した!俺は興奮のあまり痛バを握りしめたが、その瞬間、俺の視界に信じられない光景が飛び込んできたのだった。え、マジで……!?
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。