【全5話・第2話】謎のDMと痛バに秘めた覚悟の重さ

【全5話・第2話】謎のDMと痛バに秘めた覚悟の重さ の挿絵

スマホの画面を二度見、いや五度見した。
SNSに届いた見知らぬアカウントからのDM。そこには衝撃の文面が記されていた。

『突然すみません。A1番引かれたタケシさんですよね? 私、A2番を引いた者です。ステージ企画のこと、相談できませんか……?』

うわああああ! 同志いたあああ!!
アカウント名は「ミヤビ」さん。アイコンはルナクリのギター担当・レイ様の公式ラバスト。どうやら俺と同じく、純粋にライブを楽しみにチケットをもぎ取ったら公開処刑(ステージセッション)の権利が当たってしまい、恐怖で震えているらしい。

速攻で返信して通話を繋ぐと、相手は俺と同じく筋金入りのルナクリオタクだった。しかも話を聞くと、A3番の人ともすでに繋がっているという。
「タケシさん、私たち素人がステージに上がって棒立ちになったら、ルナクリの5周年を汚しちゃいますよね……」
震えるミヤビさんの声に、俺の胸のオタク魂がチリチリと音を立てて燃え始めた。

汚す? とんでもない。俺たちはルナクリの音楽に救われて生きてきたんだ。
部屋の壁一面に飾られた限定ラバスト、徹夜で並んで手に入れた歴代ラミカ、そして重さ5キロを超える推し缶バッジ敷き詰めの「痛バッグ」が俺を見つめている。
ただの客席のモブで終わるか、それとも推しへの愛を証明する戦士になるか――。

「ミヤビさん、A3さん。俺たち、やるしかないですよ。ルナクリへの愛を全部ぶつける準備、しませんか」

そこから俺たちの秘密の作戦会議が始まった。セッション曲はおそらく代表曲の『月蝕のシンフォニー』。俺たちはファン代表として、最高のレスポンスと演出をステージ上で叩き出すことを誓い合った。
参戦服のコーディネートから、コール&レスポンスのタイミングまで徹底的に詰め、俺は夜な夜な部屋でベースのエア演奏(※タケシは楽器未経験)を猛特訓。

そして迎えたライブ当日。会場のZepp前には熱気あふれるファンが溢れていた。
ついにA2のミヤビさん、A3の「ケンジ」さんと対面を果たした俺たち。
気合い十分に集合場所の楽屋口へ向かったのだが――スタッフから渡された「ステージ衣装」を見て、俺たちは全員凍りつくことになった。

「……おい嘘だろ、これを着てあそこに立つの……!?」

※この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。

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