【全5話・第2話】鬼頭課長からの呼び出しと意外すぎる提案
死んだ。完全に終わった。
翌朝、会社に着くやいなや、鬼頭課長から「タカ、ちょっと会議室へ来い」と低音ボイスで呼び出された。昨日の駅のホームで、俺の「メテオ・ストライク」愛に満ち溢れた痛バッグから落ちた、REO様の超レア缶バッジ。それを拾った課長のあの鋭い眼光が脳裏に焼き付いて離れない。
「クビか……悪くて減給、良くてシュレッダー係への異動か……」と絶望的な未来を覚悟しながら、俺は震える足で会議室のドアを開けた。
重苦しい空気の中、課長は腕を組み、パイプ椅子に深々と腰掛けていた。机の中央には、黒いビニール袋がひとつぽつんと置かれている。
「タカ、座れ」
「は、はいっ! 課長、昨日はその、大変ご迷惑をおかけし……!」
俺が平伏する勢いで頭を下げると、課長は「フッ」と小さく鼻で笑った。そして無言で机の上の黒い袋を俺の方へと押し出してきた。
「中を見ろ」
殺し屋の取引かよ。冷や汗をダラダラ流しながら袋の口を開けると、そこにあったのは、昨日俺が落としたREO様のレア缶バッジ……だけではなかった。
なんと、そこには「メテオ・ストライク」の過去の限定ラバーストラップや、今では入手困難な初期のファンクラブ限定ラミネートカードがぎっしりと詰まっていたのだ。
「え……? これ、なんですか……?」
混乱する俺を見つめ、鬼頭課長はゆっくりと眼鏡の奥の目を細めた。
「タカ、お前……昨日のライブ、物販の『缶バッジガチャ』でシークレットのREOを引いたらしいな?」
「はい!? なんでそれを知って……」
課長はスッと立ち上がり、会議室の鍵をガチャリと閉めた。そして、信じられない言葉を口にしたのだ。
「実はな、俺も昨日、あのライブの2階指定席にいた」
……は? 今、この鬼上司はなんて言ったんだ?
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。