【全5話・第4話】会場前の大泥棒と、不器用すぎる父親の叫び
「待てやコラァァァ!!」 普段の会社じゃ絶対に聞けない、鬼頭部長の地裂けるような大声が会場前に響き渡った。あの仏の鬼頭が、全身スタッズのライダースをなびか...
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「待てやコラァァァ!!」 普段の会社じゃ絶対に聞けない、鬼頭部長の地裂けるような大声が会場前に響き渡った。あの仏の鬼頭が、全身スタッズのライダースをなびか...
ライブ当日、会場前で待っていた鬼頭部長の姿を見て俺は目を疑った。 普段のピシッとしたスーツ姿はどこへやら、身にまとっているのは超初期のツアーTシャツと黒の...
「……おいポチ、ドアを閉めろ」。鬼頭部長の低音ボイスが会議室に響き、俺の心臓は跳ね上がった。 出されたのは、ブラクロのインディーズ時代……結成わずか3ヶ月...
まさか、あの「鬼の鬼頭部長」に俺の推し活がバレるなんて、この時の俺は夢にも思っていなかったんだよな……。 俺、通称「ポチ」。普段はしがないシステムエンジニ...
「俺たちの愛を、こんな奴に汚されてたまるかぁぁぁ!!」 深夜の秋葉原の路地裏、俺とタクヤ、そして変装した推し本人のZEROさんの三人で、窃盗犯を追い詰めた...
足音が止まり、物陰からヌッと現れた黒服男の顔を直視した瞬間、俺の脳内メモリがオーバーヒートを起こした。 「え……Z、ZERO様……!?」 俺とタクヤが声を...
物販裏の路地に響き渡る怒号。紫パーカーの犯人を一喝したのは、全身黒づくめでキャップを深くかぶった、見るからにヤバそうな背の高い男だった。 「おい、イッチ。...
「お前の痛バ、持っていった奴の行き先、心当たりあるぞ」 突如現れた謎の男の言葉に、俺の脳内クロックは完全にフリーズした。え、マジで? 落ち着いて男の格好を...
おい聞いてくれ。俺の人生の全てを注ぎ込んだ、総額20万円オーバーの漆黒の痛バッグが、開演直前の会場で跡形もなく消え去った。 俺の名はイッチ。三十路手前のフ...
「開演前、大事なラバストを落として泣きそうになってたヤツがいてさ。それを一緒に探して届けた熱いファンたちがいたんだよ」 武道館の眩しい照明の中、ヴォーカル...